Kindle出版の原稿はどっちで書く?Googleドキュメント vs Word 徹底比較レビュー
Kindle出版を目指すクリエイターにとって、最初の関門であり、最も重要な作業が「原稿執筆」です。
その執筆を支えるツールとして、多くの人が利用するのがGoogleドキュメントとMicrosoft Word。
無料で手軽に始められるGoogleドキュメントと、高機能で使い慣れた人も多いWord。果たして、Kindle出版のパートナーとしてどちらを選ぶべきなのでしょうか。
本記事では、それぞれのツールの特徴を様々な角度から比較し、あなたの執筆スタイルに最適なツール選びをサポートします。
あなたに合うのはどっち?機能・料金比較表
まずは、両者の違いを一覧で比較してみましょう。
項目 | Googleドキュメント | Microsoft Word |
---|---|---|
料金 | 無料 | 有料(Microsoft 365サブスクリプションまたは買い切り) |
利用環境 | Webブラウザ(オンライン推奨)、アプリ | デスクトップアプリ(オフライン)、Webブラウザ |
共同編集 | ◎ リアルタイムで非常にスムーズ | ◯ 可能だが、Googleドキュメントに比べると若干のタイムラグ |
自動保存 | ◎ 標準で自動保存 | △ OneDriveとの同期で可能 |
オフライン利用 | △ 事前設定が必要で機能制限あり | ◎ 安定して利用可能 |
テンプレート | ◯ 豊富 | ◎ 非常に豊富でデザイン性が高い |
Kindleへの入稿形式 | △ EPUB形式での直接保存は不可、Word形式(.docx)等でダウンロード後、KDPにアップロード. | ◎ EPUB形式での直接エクスポートが可能. |
操作性 | ◎ シンプルで直感的 | ◯ 高機能だが、初心者にはやや複雑な場合も |
校正機能 | ◯ 基本的な機能 | ◎ 高度な校正、文章表現の提案機能 |
拡張性 | ◯ アドオンで機能追加が可能 | ◎ 豊富な機能が標準搭載 |
Googleドキュメント:無料で始められる、身軽な執筆パートナー
Googleドキュメントの最大の魅力は、なんといっても無料で利用できる点です。 Googleアカウントさえあれば、すぐにでも執筆を始められます。
メリット
- コストゼロ:初期投資を一切かけずにKindle出版に挑戦できます。
- クラウドベースでどこでも執筆:インターネット環境があれば、パソコン、スマートフォン、タブレットなど、どんなデバイスからでもアクセス・編集が可能です。 通勤中にスマホでアイデアを書き留め、自宅のPCで本格的に執筆するといった柔軟な使い方ができます。
- リアルタイム共同編集:編集者や共著者との共同作業が非常にスムーズです。 複数人が同時に同じドキュメントを編集でき、コメント機能を使えば円滑なコミュニケーションが可能です。
- 安心の自動保存:変更内容は自動でクラウドに保存されるため、「保存し忘れてデータが消えた」という悲劇を防げます。
デメリット
- オフラインでの利用に制限:オフラインでも作業は可能ですが、事前に設定が必要で、オンライン時に比べると機能が制限されます。
- EPUB形式への変換に一手間:Googleドキュメントから直接EPUB形式で保存することはできません。 一度Word形式(.docx)や他の形式でダウンロードし、それをKindle Direct Publishing(KDP)にアップロードする必要があります。 アドオンを使えばEPUB化も可能ですが、一手間かかることは否めません。
こんな人におすすめ
- とにかくコストをかけずにKindle出版を始めたい人
- 複数のデバイスを使い分けて執筆したい人
- 編集者や共著者と頻繁にやり取りをする人
Microsoft Word:高機能で安心、本格派の執筆環境
文書作成ソフトの代名詞ともいえるMicrosoft Wordは、その豊富な機能と安定した動作環境が魅力です。
メリット
- 高機能で詳細な書式設定:フォントの種類、行間、インデントなど、細部にわたるレイアウト設定が可能です。こだわりの紙面を作りたい場合に力を発揮します。
- オフラインで集中執筆:デスクトップアプリケーションなので、インターネット環境がない場所でも安定して作業に集中できます。
- 充実した校正・編集機能:標準搭載されている校正ツールは非常に優秀で、誤字脱字のチェックだけでなく、より洗練された文章表現の提案もしてくれます。
- Kindle形式(EPUB)への直接変換:Wordは作成した文書をEPUB形式で直接エクスポートする機能を備えています。 これにより、KDPへのアップロードがスムーズに行えます。
デメリット
- 有料: 利用するにはMicrosoft 365のサブスクリプション契約か、買い切り版の購入が必要です。
- 共同編集はGoogleドキュメントに劣る: OneDriveを介した共同編集は可能ですが、Googleドキュメントのリアルタイム性に比べると、若干の遅延を感じることがあります。
こんな人におすすめ
- オフライン環境で腰を据えて執筆したい人
- 書籍のレイアウトやデザインにこだわりたい人
- 高度な校正機能を使って文章のクオリティを高めたい人
- すでにMicrosoft 365を契約している、またはWordを使い慣れている人
Kindle出版の観点での最終チェック
Kindle出版においては、最終的に原稿をKDPがサポートするファイル形式に変換する必要があります。Amazonが推奨する形式にはEPUBやMicrosoft Word(DOC/DOCX)などがあります。
- Googleドキュメント:Word形式(.docx)でダウンロードし、KDPにアップロードするのが最も手軽な方法です。 ただし、この変換プロセスでレイアウトが崩れる可能性もゼロではありません。アップロード後に必ずKindle Previewerで表示を確認しましょう。
- Word:直接EPUB形式で保存できるため、変換の手間が少なく、レイアウト崩れのリスクも比較的低いと言えます。
結論:あなたのスタイルに合ったツールを選ぼう
GoogleドキュメントとWord、それぞれに優れた点があり、どちらが絶対的に優れているということはありません。あなたの執筆スタイルや環境、そして予算によって最適な選択は異なります。
- 「まずは無料で気軽に始めてみたい」「場所を選ばずスマホでも書きたい」 という方には、Googleドキュメントがおすすめです。
- 「オフラインで集中して書きたい」「こだわりのレイアウトを実現したい」「すでにWordを使っている」 という方には、Microsoft Wordが最適なパートナーとなるでしょう。
両方のツールを試してみて、ご自身の執筆プロセスにしっくりくる方を選ぶのも一つの手です。大切なのは、あなた自身が最も快適に、そして創造的に執筆活動に打ち込める環境を整えることです。この記事が、その一助となれば幸いです。
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